Stomach Cancer

胃がん 基礎知識:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

 

胃粘膜に発生する悪性腫瘍で組織型の90%以上が腺癌。癌の浸潤が粘膜下層(SM)までにとどま早期胃癌と、固有筋層(MP)以下に浸潤した進行胃癌に分類。癌発生の危険因子としてはH.pylori感染、萎縮性胃炎、食塩過剰摂取、喫煙、βカロテンの摂取不足など。

近年胃癌による死亡率は減少傾向であるが、癌死亡率では肺がんに次いで2位。

好発年齢は70代。

(1)無症状。内視鏡検査、上部消化管造営で辺緑不整な陥凹性病変。腫大・融合・先細りを伴うひだ集中。隆起性病変などを認めた場合は早期胃癌を考える。

(2)無症状or体重減少、腹部不快感、心窩部痛、食欲不振、悪心嘔吐、黒色便、易疲労感

内視鏡検査や上部消化管造影検査で、周堤を伴う不整形の潰瘍性病変などを認めた場合は進行胃癌を考える。

確定診断には政権、内視鏡所見などを参考にする。

治療:内視鏡、超音波内視鏡(EUS)、CT、消化管造影などの検査を行い、病変の深達度転移の有無を調べ、全身状態を考慮し治療方針を決定。

 

(1)a.内視鏡的治療:内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

 2cm以下で潰瘍(-)の分化型粘膜癌は内視鏡的治療の絶対適応

   b.外科的治療:縮小手術(胃切除2/3未満+リンパ節郭清)

 内視鏡的治療の適応外のものなどは外科的治療を行う

(2)外科的治療:定型手術(胃切除2/3以上+リンパ節郭清)

 必要に応じて、他臓器(脾臓や肝臓)の合併切除も行う(拡大手術)

 術後補助化学療法としてS-1の投与が勧められる

(3)切除不能

 a.化学療法:S-1+cisplatin(HER2陰性)

   カピシタビン+cisplatin+トラスツズマブ(HER2陽性)

    b.緩和療法:出血や狭窄などの改善のためにバイパス術などを姑息的に行う

 

胃炎からの進展

www.pirorikin.com

Helicobacter pyloriに感染した胃は萎縮性胃炎、腸上皮化生などを経て胃癌へ

早期胃癌は無症状が多く、進行すると体重減少、腹部不快感、心窩部痛などが出現

 

stage分類

https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/diagnosis.html

検査:2 図6参照

TNM分類 T:壁深達度 N:リンパ節転移の程度 その他転移の有無 M:部位

基本は外科的治療でT1a~T1bN0のみ内視鏡的治療+外科的治療

T/NにかかわらずM1の場合化学療法を行う

 

診断

主訴、問診から疑われる場合癌の存在を確認し、各種画像検査などにより進行度診断

検診:ABC検診血性ペプシノゲン値、Helicobacter pylori IgG抗体価

胃癌検診:上部消化管造影、内視鏡検査

確定診断:内視鏡、画像強調内視鏡(色素内視鏡、NBI、FICEなど)、拡大内視鏡、病生検

進行度診断:T因子:内視鏡検査、上部消化管造影検査、EUS

       :M因子:EUS,CT,MRI,超音波検査、腹水細胞診、大腸内視鏡検査、直腸検査

        PET/CT、骨シンチ

 

肉眼的分類と壁深達度

www.onaka-kenko.com

肉眼的分類:頻度はⅡcが最も多く早期胃癌の1/3、ⅡcについでⅡc混合型(Ⅱc+Ⅲ、Ⅱc+Ⅱa)などが1/3を占め、両者を合わせるとⅡcを主体として6~7割以上。隆起型(Ⅰ,Ⅱa型)は高齢者に多く、分化型胃癌が多い。

 

リンパ節転移

http://www.jgca.jp/guideline/fourth/category2-b.html

NX:領域リンパ節転移の有無が不明 N0:転移なし

N1:1~2個の転移を認める N2:3~6個の転移を認める N3a:7~15個 N3b:16個以上

領域リンパ節は胃の周囲におよそ30個ある

 

胃癌の転移様式

血行性転移:血管を介して肺転移、肝転移(最多)、全身へ。

播種性転移:漿膜を破りがん細胞が腹腔内に飛び散る。腹膜播種巣、癌性腹膜炎(腹水)

 女性:Douglas窩転移(シュニッツラー転移) 男性:直腸膀胱窩転移

リンパ行性転移:リンパ節を介し、転移。

 左鎖骨上窩リンパ節転移(ウィルヒョウ転移):腹腔内から胸管を介して左鎖骨上窩リンパ節に至る経路で起こる

 卵巣転移(クルーケンベルグ腫瘍):両側性が多い。播種性、血行性にも転移しうる

 Sister Mary Joseph's nodule:臍部へのがん細胞が播種し、臍に腫瘍を形成すること

 

早期胃癌の内視鏡

NBI:退色調、インジゴカルミン散布(NBI後)、酢酸(易出血、粘液増加のため最後)

 

基礎

細胞の構造

核を除いた部分を細胞質cytoplasmといい、細胞小器官がある。

小胞体endoplasmic reticulum:表面にリボソームが付着した粗面小胞体と付着していない滑面小胞体

リボソームribosome:小さな顆粒、RNAと共にタンパク質を合成。

ゴルジ体Golgi apparatus:粗面小胞体で作られたタンパク質に糖などを付け加えて細胞表面に運べるようにする。

中身体centrosome:細胞分裂時、細胞両極に移動し、染色体を引き寄せる。

ミトコンドリアmitochondria:ATP産生。

リソソームlysosome:不要な細胞の構成成分や、細胞内に取り込んだ物質を分解。

細胞骨格cytoskeleton:細胞の形を保つ、細胞運動。元はタンパク質が作る細胞質内の繊維。

 

細胞の化学成分

 

糖質

単糖類:糖質の最小単位。消化により糖質が分解された時の最終産物。グルコース(ブドウ糖)、フルクトー(果糖)ガラクトースなど

二糖類:スクロース(ショ糖、砂糖)ラクトース(乳糖)など

多糖類:でんぷん、グルコーゲン、セルロースなど

 

脂質

トリグリセリド(中性脂肪、トリアシルグリセロール、一般的に脂肪)人体に最も多い脂質。

 

タンパク質

100~1万ほどのアミノ酸が結合してできたもの。アミノ酸が二つ以上結合してできたペプチド、アミノ酸10~100個繋がったものはポリペプチド

 

エネルギー変換とATP産生

体外から物質を取り入れ、分解しエネルギーを取り出すことを代謝metabolismといい、絶えず人体で行われている。取り出したエネルギーはそのまま使われるのではなく、一旦アデノシン三リン酸adenosine triphospahe(ATP)を作るのに使われる。ATPはエネルギー通貨である。エネルギーを取り出すためにATPからリン酸が一つ外れたものをadenosine diphoshate(ADP)二つ外れたものをadenosine monophoshate(AMP)

 

 

核酸とタンパク質の合成

核内のDNARNAを合わせて核酸と呼ぶ。

 

核酸

DNA:遺伝子が発言することにより身体的特徴が決定している。化学的にDNAデオキシリボ核酸deoxyribonucleic acid と呼ばれる物質である。DNAは塩基、糖(デオキシリボース)、リン酸で構成されたヌクレオチドと呼ばれる単位が繋がった鎖であり、通常は日本のDNAが反対向きになって二重らせん結合している。アデニン、グアニン、チミン、シトシンの4つの塩基があり、A=T,G=Cで結合している。塩基の並ぶ順を塩基配列といい、遺伝情報がコード化されている。

RNA:DNAと構造は似ているが、デオキシリボースに酸素原子が一つ結合したリボースで構成されているものがあり、RNAリボ核酸ribonucleic acidと呼ばれる。4つの塩基のうちRNATの代わりにUを持つ。DNAの情報を伝達する働きを持つmRNAとタンパク質合成の場となるリボソームを構成するrRNAアミノ酸を運搬するtRNA3種類がある。

 

タンパク質の合成

DNAの二重らせんの一部が開き、酵素が結合してDNA塩基配列に対応するmRNAが合成、mRNADNA塩基配列を写し取るとめ転写と呼ぶ。アミノ酸の並ぶ順番はmRNA3塩基が1組となり、1つのアミノ酸に対応する。mRNAからタンパク質合成される過程を翻訳という。

 

 

 

 

細胞膜の構造、機能

 

構造

細胞膜cell membraneを構成する主成分はリン脂質。親水性の部分と疎水性の部分があり親水性の部分が外側になった脂質二重層

細胞膜の役割は、細胞内外を隔てる仕切り。脂質二重層は水や電解質を透過しにくく、一部のホルモンなど脂溶性の物質を透過しやすい。水及び一部の脂質を透過させる膜を半透膜と呼ぶ。

 

細胞質のタンパク質の機能

輸送体:チャネル、ポンプ、担体

チャネル:膜貫通型のタンパク質の集合、中心部分に孔が開いている構造。必要時に開閉し物質を通す。Naチャネル、Ca,K,Clなど特定のイオンを通すイオンチャネルや、水を通す水チャネル。活動電位発生。

ポンプ:ATPを利用。電気的勾配あるいは濃度勾配に逆らって物質を輸送するシステム。細胞内にK+を取り込み、細胞外にNa+を排出するナトリウムポンプは細胞内のイオン成分と電位を一定保つために重要である。他にもカルシウムポンプ、胃酸分泌細胞のH+K+交換ポンプなど。

担体:ATP非消費で細胞内に取り込む際に働くタンパク質。グルコースを細胞内に取り込むグルコース輸送体glucose transporterの一つであるGLUT2が代表。ATP非消費なので輸送速度はチャネルよりはるかに遅い。

 

膜電位と細胞興奮

静止電位:細胞内にK+が多いが細胞外では少ない。そのためK+は能動勾配に従って細胞外に向かって流出する。正の電荷を持つ陽イオンであるK+が流出したため細胞内は細胞外よりも電気的に負となり、陽イオンの流出を引き止める力が発生。細胞に引き出す力(濃度勾配)と細胞内に引き戻す力(電気的勾配)がちょうど釣り合った状態(平衡状態)での電位は静止電位と呼ぶ。神経細胞の静止電位はおよそ-70~-60mV、骨格筋、心筋では-90~-80mVである。

活動電位:神経細胞や筋細胞を電気的に刺激すると、電気的に負になっていた細胞内の電位が上昇し、0に近づいていく。脱分極。膜の別分極がある一定のレベル閾値を超えると、チャネルは開き流入する。陽イオン流入によって膜電位は急激に脱分極し、瞬間的に細胞内は細胞外に対して正に帯電する。その後イオンの流入の再分極によって、膜電位は再び負になっていくが、一旦静止電位よりも負になりと後過分極となった後に静止電位に戻る。

急激な脱分極と、それに続く急激な再分極を示す膜電位変化を活動電位を言いその持続時間は1~5m秒である。活動電位の大きさは一定であり、閾値を超える刺激であれば刺激をそれ以上強くしても活動電位が大きくなることはない。つまり活動電位は発生するか発生しないかの2択。全か無かの法則all-or-none law 発動電位の発生している過程中は刺激を与えても反応しない不応期。神経線維の活動の過程及び、その電動速度は極めて大きいことから、電動していく活動電位を神経衝撃nerve impulse、インパルスと呼ぶ。